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第一回研究協議会・定期総会を実施しました。

 2017年3月11日(土)、筑波大学附属久里浜特別支援学校にて、「知的障害を伴う自閉症幼児教育研究会(以下、「知自幼研」)」の研究協議会と第一回定期総会を開催しました。研究協議会には、幼稚園教諭、特別支援学校教員、保護者など、およそ60名の参加がありました。

 研究協議会では、「近隣幼稚園と特別支援学校幼稚部の併行通園の取組」をテーマに、筑波大学附属久里浜特別支援学校幼稚部と岩波幼稚園との併行通園を行っているR君の事例報告を行いました。R君は、現在、筑波大学附属久里浜特別支援学校幼稚部の年長児学級に在籍しており、週1~2回、岩波幼稚園との併行通園を行っています。事例報告を行うに当たって、まず、工藤久美先生(久里浜特別支援学校幼稚部主事)と岩波啓之先生(岩波幼稚園園長)が、久里浜特別支援学校幼稚部と岩波幼稚園の概要と、両機関におけるこれまでの併行通園の取組について説明しました。

 次に、R君への指導経過について、松館敬太先生(久里浜特別支援学校)と竹内佳菜先生(岩波幼稚園)が、それぞれの場でどのような指導を行ってきたか、R君への関わり方やR君の育ちなどをどのように共通理解をしてきたか、などについて具体的に報告しました。報告では、併行通園を通して、R君が、様々な教師に自分から感情や要求を伝えるようになるとともに、友達の遊ぶ様子を見て、同じように遊んだり、友達の言っているキャラクターの絵を描いたりするなど、人との関わりが広がり、多様な遊びを楽しめるようになっていった様子が、写真や映像を通して紹介されました。また、R君への関わり方やR君の育ちについては、電話連絡をしたり、互いの場でのR君の様子を見合ったりするなど、定期的な情報交換を行い、互いの場が協力して指導を行ってきたとのことでした。

その後、R君のお母さんが、併行通園を通したR君の育ちを話してくださいました。お母さんは、R君が周囲の友達を見て、誕生会で苦手な冠をかぶったり、普段はあまり食べない食材を、「いっぱいちょうだい!」と言って食べたりするなど、R君が、友達とともに育ってきたことが何よりもうれしかったとのことでした。

 事例報告のまとめとして、工藤先生と岩波先生が、それぞれの立場から「併行通園の意義とねらい」について説明をしました。併行通園を行うためには、子どもが在籍している機関と併行通園先の機関が、互いの教育方針を理解し、協力して指導を行うこと、つまり情報交換と連携をどこまで徹底してできるか、どこまでその覚悟ができるかがポイントであることが示されました。また、障害のある子を受け入れることで、子どもに思いやりの気持ちが育ち、子ども同士のけんかなどのトラブルが減ったという紹介がありました。

最後に、本研究会の賛同人であり、本研究協議会の指導助言者である田中真介先生(京都大学)と研究会の会長である前川久男先生(筑波大学名誉教授)から、R君の育ちについて発達的な視点から説明をしていただくとともに、併行通園の意義や幼児期の指導で大切にしたいことなどについて問題提起をしていただきました。

 参加者からは、「保護者の併行通園に対する思いを聞くことができて本当によかった」、「支援学校の先生と密に連絡を取り合い、成長を助けていることは、素晴らしいと思う」、「先生たちの関わりだけではなく、子ども同士の関わりが大切であることを学んだ」といった意見が多数寄せられました。

 第一回の定期総会では、「知自幼研」準備委員会より、研究会の規約、役員名、今年度の活動案と予算案が提案され、会員の承認により、可決決定されました。

「知自幼研」では、知的障害を伴う自閉症幼児への教育や福祉など、様々なことを、多様な立場の方と議論し、考えていく取組を行っていきます。今後とも「知自幼研」の活動にご理解とご協力をお願い致します。

 
 

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