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第一回学習会を実施しました

 2017年7月8日(土)、筑波大学附属久里浜特別支援学校にて、知自幼研第1回学習会を開催しました。知自幼研賛同人である京都大学国際高等教育院准教授、田中真介先生を招き、「子どもの発達を学ぶ~自我の育ちを大切にした保育・教育~」と題してご講演をいただきました。学習会には、幼稚園教諭、保育士、小学校・特別支援学校教員、福祉関係者、保護者など、多くの方々の参加がありました。

 田中先生は、「子どもの自我や自己信頼性の育ち」について具体的な子どもの映像やエピソードをたくさん紹介しながら、説明してくださいました。

 未熟な状態でこの世に生を受けた人間の赤ちゃんは、周囲の大人との交流を通して、自分の内にある可能性を花開いていきます。この花開くプロセス、すなわち、発達のプロセスは、「力を蓄える時期(停滞期)」と「飛躍する時期」が交互に訪れます。講義の中では、このプロセスの法則性とそれぞれの時期に大切にしたい大人のかかわり方について学びました。

 例えば、乳児期後半(6~12か月)になると、「移動」、「手指操作」、「音声表現」という三つの自由を獲得します。自分から大好きな大人や物に近付き、手指を使って相手と交流したり、喃語を発して感情を表現したりします。それぞれ別の機能のようですが、「関係づくりの『結び目』」が育つという共通した特徴があります。一つ一つの機能の発達をバラバラに見るのではなく、共通性を捉えることが発達を理解する上ではとても大切であることを学びました。

 また、講演のテーマである「自我」の育ちでは、0歳で身近な大人に対する基本的な安心性・信頼性を獲得した子どもたちは、1歳前半で「自我の芽生え」、1歳後半で「自我の誕生」、2歳前後で「自我の拡大」と自我を豊かにしていきます。自我が芽生え始めた子どもは、「~だ、~だ」と自分の好きな人や物に一直線に向かう力を高めていきます。子どもは、大好きな大人とのかかわりを通して、「もっと、もっと」という好きになる力、「いやだ!」と否定できる力、大人や友達と交流する力、道具や言葉の意味や価値を感じ取る力を蓄えながら、「自我の誕生」、「自我の拡大」へと歩みを進めていきます。

 さらに、講演の中では、「自己信頼性」というキーワードも出てきました。自己信頼性とは、子どもが自分のことを大切に感じる力、自分を大事にする力です。子どもは、芽生え始めた自我を大人に受け止め、理解してもらうことを通して、自分の価値を実感していきます。自分を大事にできる力が充実していくことで、自分の持っている物や、自分の発する声の意味や価値を実感し、道具を使ったり、言葉を発したりすることができるようになっていきます。また、自己信頼性が育っていくことで、自分だけではなく、相手を尊重し、大事にする力も育っていきます。

 自我や自己信頼性を育んでいくためには、子どもたちの「言葉にならない言葉」を受け止めていくことが不可欠です。参加者の方からは、「乳幼児期の発達を丁寧に見取るポイントを学べました」、「改めて子どもの発達を見直すよい機会となりました」、「目に見える形でのできる、できないことに捉われている大人たちに囲まれ、子どもたちの心の叫びが不適応行動となって顕在化していると思った」といった感想が寄せられました。知自幼研では、引き続き、子どもたちの発達を学んだり、実践を語り合ったりする機会を設定していきます。皆さんで学び合うことを通して、子どもたちの言葉にならない言葉を受け止め、よりよい保育・教育を追求していきましょう。


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